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当院のICT化

 

当院のICT化

ICTのマネジメント

当院の情報管理センターは、専従職員7名で構成されており、ほぼ全員が医療情報技師の資格を有しています。ICTのマネジメントを担う人材の能力で①病院情報システムやICT技術に関する専門的な知識②ネットワークを設計管理しトラブルを解決できる能力③病院経営の視点から各診療部門の要望をまとめる調整力④ベンダーに対してきちんと要望を伝える能力などが重要です。このマネジメントが医療や経営の質の向上につながることを念頭に置き、ICT化に取り組んでいます。


すこやか安心カード(共通診察券)で繋ぐ患者フェイスシート連携

昨今の医療の高度化や患者ニーズの個別化・多様化に応え、さらなる病床の機能分化・連携を推進するにはICTを活用した地域医療ネットワークの基盤整備が必要です。特に高齢の慢性疾患患者や在宅療養者の増加に伴い、在宅介護と医療の連携が求められており、その連携を実現するにはICTによる情報共有が必須事項です。また、その仕組みとして患者の医療・介護情報を相互共有するには、近い将来施行されるマイナンバーのような共通番号制度が必要不可欠です。本事業は、平成 27 年度地域医療ネットワーク基盤整備事業費補助金交付を受け、すこやか安心カード(共通診察券)内に共通連携IDや医療機関毎の患者IDを複数登録することで、エキサイネットおよびポケットカルテを介し、医・介連携に必要な患者フェイスシート情報を住民や医療機関および介護施設などが統合的に利用できる情報基盤整備を行い、患者フェイスシート情報をさらに多くの住民や関係者が接する機会を設けることにより情報の鮮度と精度の向上を目指すことです。


エキサイネット・ポケットカルテ概念図


ポケットカルテ(電子版お薬手帳)

従前、医療機関が主導の「エキサイネット」を中心にシステムの構築をしてまいりましたが、大規模災害時でも医療情報を活用できる、患者主導の「ポケットカルテ(電子版お薬手帳)を導入しました。
[患者主導型PHR「ポケットカルテ」(電子版お薬手帳)を開始。] ポケットカルテとは、独立行政法人国立病院機構京都医療センター医療情報部長 北岡有喜博士が考案し、特定非営利活動法人日本サスティナブル・コミュニティ・センター(SCCJ)が運用している個人向けの健康・医療・福祉・介護情報管理サービスで、①地域共通診察券(すこやか安心カード)の提供 ②健康・医療・福祉管理「ポケットカルテ」で構成されています。その機能は、お薬手帳や医療費明細書、さまざまな検査結果など、医療機関が提供する医療情報を自分自身で簡単に安全に管理することが可能です。また、受診者に直接的メリットがある機能として、医療機関や薬局、コンビニなどで受け取ったレシートのQRコードを読み取ることでデータを取り込み、確定申告の際にワンタッチで医療費控除明細を出力する仕組みが用意されています。このほかに、ポケットカルテの一部機能を使った母子手帳・NICU退院手帳、透析手帳、住民健診手帳などの医療情報サービスが提供されています。また、高齢者・ケータイ/スマホやPCを持たない方向けの対策として、家庭にあるテレビ(CATV)を使い簡単なリモコン操作で閲覧できるサービスもSCCJにより展開予定となっています。
https://pocketkarte.net/



病病・病診連携を「エキサイネット」で繋ぐ

医療費抑制と機能分化という新しい時代の中で、地域における急性期病院として役割を果たすためには、地域の医療施設と積極的に連携していくことが重要です。当院では2002年オーダリングシステム、2005年には電子カルテ・PACSシステムを導入し、院内での効率化を実現しました。さらに病院情報システム(HIS)の医療情報を医療情報連携システム(エキサイネット)を介して医療連携機関と共有し、紹介・逆紹介に関わる情報、救急患者の受け入れ状況、経過等もリアルタイムに利活用できるシステムを構築し運用しています。セキュリティ面では、システムの進化に合わせてネットワークも改良しています。当初は、ダイアルアップで各診療所から接続していましたが、現在はUSBトークンPKI +SSL- VPNへと大きく進化し、セキュリティ面の向上だけでなく連携医療機関の通信環境に左右されることなく、簡便にインストールが可能となりました。(図1を参照)

図1 エキサイネット概念図
現在、診療所の医師約102人のほか、院内の医師約86人が利用しており、ユーザーの多くは中川区の医療機関です。(図2を参照)

図2 ユーザー分布状況と地域連携クリティカルパスの実績
主な機能は以下に示します。(図3を参照)

図3 エキサイネットの各機能
特に院内の医師の場合、深夜に運ばれてきた救急患者の検査結果を自宅で確認し、病院に駆けつける前に初期対処や治療の準備についての指示することで迅速な救急医療が可能になりました。(図4を参照)

図4 救命救急センターでの遠隔同時診断
また、災害時にもエキサイネットは役立ちます。避難所に見えた患者さんが、「普段飲んでいた薬がわからない」など、エキサイネットを利用して、その患者さんに処方されていたお薬や、アレルギーなど、様々な項目を確認する事が可能です。(図5を参照)

図5 災害時に役立つエキサイネット(情報閲覧)
さらに避難所にて撮影したレントゲン画像をエキサイ会病院に送信し、専門医による遠隔画像診断も可能となります。(図6を参照)

図6 災害時に役立つエキサイネット(遠隔画像診断)


エキサイネットで結ぶ地域医療連携クリティカルパス

地域における急性期病院として当院と医療連携機関でエキサイネットを双方向の利活用することを目的として地域医療連携クリティカルパスを電子化しました。基本となる入力項目は紙運用時代を踏襲しており、入力の精度を上げるために直接入力は避け、ドロップダウンリストなどで選択方式を多用しています。また各職種の入力の進捗状況を表示し入力管理がスムーズに行えるようにしました。紙運用時代との大きな違いはサーバーに集積された非構造化データを、誰もが扱いやすい形式にアウトプットできる点です。
(図7・8を参照)

図7 地域連携クリティカルパスの運用フロー

図8 地域連携クリティカルパスの各機能


傷病者集約システムと電子カルテを連携

2005年より多数の病院・消防関係者・医師会・ボランティアの参加のもと「傷病者情報集約システムを利用した大災害時傷病者受け入れ訓練」を行っています。従来の大災害時患者受け入れ訓練では、傷病者受け入れ人数、受診者数、入院患者数、余剰設備(手術室・人工呼吸器)などのリアルタイムな状況把握が難しく、このような環境下と限られたスタッフで傷病者の医療情報を集約・整理することは大変困難な作業でした。災害拠点病院である当院は、この命題をクリアするために、IT技術を駆使した傷病者情報集約システムを開発し、実際の訓練での実用性について検証しました。(図9を参照)。

図9 傷病者集約システムと電子カルテ概念図
大規模災害時に問題になるのは、情報の錯綜(さくそう)であり紙の運用では情報が分散してしまいますが、電子カルテで一元化できればこうした問題の多くを解決することができます。 情報の一元化によって例えば、「どういう状態の患者が何人運ばれてきたのか」、「どのような診療行為がなされたか」といった情報がすぐに分かり、効率的に患者を治療することが可能となります。またこのシステムで特に特徴的なのは、電子カルテと患者の位置情報を連動させている点です。医師が症状の重さやカルテ番号などをキーにして患者の位置を把握できるほか、病院に駆け付けてきた家族に患者の位置・状態情報を提供するために利用されます。(写真1を参照)

写真1●傷病者情報集約システムの画面例
位置情報と電子カルテを連携。家族が駆け付けてきたとき、病院に運ばれてきた人がどこにいるかをすぐに確認できるようにする。
災害時、家族の問い合わせ対応に職員が時間をとられ、現場が混乱するケースは少なくありません。本システムより得られる位置情報によって傷病者の安否情報の効率化に大いに貢献できるものと考えています。 患者の位置測定にはエカハウ社が開発した無線LANタグを使用しました(写真2を参照)。このタグがサーバーに対して、周囲のアクセス・ポイントのSSIDと信号強度を送信し、三角測量の要領で位置を割り出します。

写真2●位置情報を取得する無線LANタグ
米エカハウ社の製品。既存の無線LANアクセス・ポイントを利用して位置測定ができる。大規模災害訓練では、実際に腕などに装着して患者の位置を特定した
訓練終了後のアンケートの結果では、「検査に行って帰ってこない傷病者の位置の把握ができ、傷病者の取りこぼしがないかの確認ができた。」「傷病者家族への情報提供に役立てられた。」「転帰がわかるようになったところが良かった。」などの意見があげられ、この傷病者情報集約システムから得られる情報に基づき、迅速かつ効率的な救急活動を行う事ができました。電子カルテに関しては、医療情報の記載やオーダーより、訓練の事後検証が行えるようになり、今後の訓練のあり方について大変良い参考となりました。

情報管理センター長  奥村幸光